評     価  

 
       
File No. 0459  
       
製作年 / 公開日   2006年 / 2007年01月20日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   デイヴィス・グッゲンハイム  
       
上 映 時 間   96分  
       
公開時コピー   地球の裏切りか?
人類が地球を裏切ったのか?
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   アル・ゴア [as Himself]  
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たぴおか的コメント    クリントン政権下で副大統領を務め、2000年に行われた大統領選では現ジョージ・W・ブッシュ大統領との激戦の末に敗れたアル・ゴア氏が、その半生を費やして取り組んだ地球温暖化問題。彼が全米を中心に世界各国で温暖化対策の緊急性を訴え、精力的に行ってきた講演活動を紹介するドキュメンタリー作品だ。
 その話に嘘や誇張は一切ない、というのはアル・ゴア氏も自ら語っている通りで、事実に違いないだろう。そして、ただ語るだけではなく、緻密なデータによる裏付けがあってこそ、その話は説得力をもって観る者に訴えかけてくる。私自身も、地球の温暖化が深刻な問題と化していることは知っていたが、この作品を観たことによって、改めて啓蒙された思いだ。余談だが、この「啓蒙」という単語は差別用語に当たり、「啓発」としなければいけないとの指摘を受けたことがある。「蒙」という言葉は、「道理に暗い」という意味で、私にはそこに差別的な意味合いは見いだせないのだが。とは言え、今まではただ漠然とした概念でしかなかった地球温暖化が、実体を伴って現実問題として認識された、それはまさに蒙を啓かれたことに他ならない。
 ただ、では果たして地球の温暖化だけが深刻な問題であるかというと、他にも解決しなければならない問題は山積されている。肝心なのは取捨選択であって、何が早急な解決を必要としていて、何が私たちの生活に直接影響してくるか、それを見極めるところからスタートすべきだと思う。そして、エンディングでの彼のメッセージの数々、例えば「冷暖房は控えめに」「省エネ家電に買い替えましょう」「木を植えましょう」「車はハイブリッドカーにしましょう」「なるべく公共の交通機関を使いましょう」・・・・・これらはすべて正しく、間違ったことはひとつも言っていない。しかし、それらすべてを実行するのはあたかも修行僧が禁欲行を行うのに似ており、あまりに何から何まで型に嵌められた生活を強いられるような窮屈さを正直感じてしまったのも事実だ。
 このようなきな問題をひとりひとりの心がけからボトムアップで解決するのは非常に困難で、国家が率先してトップダウンで取り組んでいくべきテーマである。この作品、文部科学省特選作品とのことだが、ちなみに京都議定書以来日本は、そのCO2排出量の削減はおろか、未だに増加の一途をたどっているが、この事実を官僚や国会議員たちは一体どうとらえるのだろうか?