評     価  

 
       
File No. 0794  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年08月02日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   山口 雄大  
       
上 映 時 間   104分  
       
公開時コピー   あの伝説のトラウマ作品、戦慄の映画化!  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   水沢 奈子 [as 南条葉子]
野口 五郎 [as 南条敬三]
斎藤 工 [as 吉村高也]
板尾 創路 [as 運転手]
堀部 圭亮 [as 吉村誠也]
亜沙美
生田 悦子 [as 紀伊スエ]
浅野 温子 [as 南条夕子]
 
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あ ら す じ    昭和35年。孤児院で育った15歳の少女葉子は、孤児院の職員吉村誠也に連れられて南条の屋敷へと向かっていた。葉子は生まれてすぐに戦争のために両親と生き別れになっていたが、父親の南条敬三が苦労の末に葉子が実の娘であることを突き止めた。そして、葉子は初めて両親と会うことに期待と不安を抱きながら南条の屋敷へ向かうタクシーに乗っていたのだった。
 屋敷に着くと、主人の敬三が仕事中で応対できないと使用人の紀伊スエに冷たくあしらわれる葉子と吉村。しかし、吉村がなんとかスエを説き伏せて、2人はその夜を屋敷で過ごすことになった。しかし、初めて泊まる古ぼけた広い洋館に、葉子は赤ん坊がの鳴き声が響き渡る中で何者かに襲われるという夢とも現実ともつかない経験をする。しかし、それは夢ではなかった。確かに屋敷のどこからか赤ん坊の泣き声が聞こえ、葉子は常に何者かの視線に見つめられている気がして仕方がなかった。そして、初めて会った母夕子が、正気を失ったかのようにぬいぐるみを抱いて我が子のようにあやし、娘である葉子と生き別れになったことを全く知らない様子だったのも葉子をさらに不安にさせていた。
 葉子は屋敷でただ一人葉子に暖かく接してくれる敬三から、タマミという娘がいたが預けられた病院で亡くなったことを聞かされていた。しかし、次第に葉子はタマミが生きて屋敷のどこかにいることを確信していく。そして、タマミは敬三やスエを次々とその手にかけ、やがて葉子の前にその驚くべき姿を現すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    楳図かずおの同名コミックを映画化したホラー作品。前にもどこかに書いた気はするのだが、ホラーで最も「怖い」と感じるのは相手が正体不明であること。この作品、最初は誰が「赤んぼ少女」なのか全くわからず、主人公の葉子が何者かわからない相手に襲われるまではまだ良かった。が、その正体がタマミであることがわかってしまうと怖さも薄れてしまった。しかも、タマミの造形が、恐怖感を強調しようとしたことはわかるのだが、あまりにも作り物っぽいために興醒めしてしまう。さらに言えば、その形相があまりに人間離れしているために、まるで怪獣を見ているような気分にさせられてしまうのもマイナス点だろう。楳図かずおのホラーコミックは『恐怖』や『おろち』を筆頭に何作か読んだことはあるので、おそらくは原作にタマミがどのように描かれていたかが想像できるのだが、この映画で描かれているタマミの雰囲気は原作のそれとはかけ離れてしまっているとしか思えない。また、無理矢理原作通りの昭和35年という時代設定にする必要もなかったように思える。葉子が両親と生き別れになった理由など、戦争以外になんとでも説明はつけられるだろうから。
 では、この作品で何が最もコワかったかと言えば、ほかでもない浅野温子の顔なのだ。しばらく見ないうちにすっかり歳をとってしまった彼女(それもそのはず、彼女も既に47歳)、メイクの効果もあって、自分の娘である葉子のことなど完全に忘れてタマミに執着する夕子には寒気すら感じる。一方、葉子の父親役の野口五郎だが、かつて新御三家が全盛の頃私は彼のファンだっただけに、ドラマ『ケイゾク』のように癖のある悪役かと危惧していたのだが、本当に葉子を思う優しい父親役で正直ホッとした。それだけに、早々にお役ご免になってしまったのがちょっと残念(笑)。