評 価
File No.
0989
製作年 / 公開日
2009年 / 2009年05月23日
製 作 国
日 本
監 督
森 淳一
上 映 時 間
119分
公開時コピー
家族の愛は、重力を超える。
連続放火事件に隠された家族の真実
溢れくる感動のミステリー
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
嘉瀬 亮
[as 奥野泉水]
岡田 将生
[as 奥野春]
小日向 文世
[as 奥野正志]
吉高 由里子
[as 夏子]
岡田 義徳
[as 山内]
渡部 篤郎
[as 葛城由紀夫]
鈴木 京香
[as 奥野梨江子]
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あ ら す じ
大学院で遺伝子の研究に打ち込む
奥野泉水
は、ある日実家を訪れる。実家で彼を迎えるのは、2歳下の弟
春
と父の
正志
で、泉水と春の母親である正志の妻
梨江子
は、7年前に不幸な事故で世を去っていた。泉水が実家を訪れたのは、その日が梨江子の命日だからだった。
その頃、仙台市内では連続放火事件が世間を騒がせていた。そして、落書きされたグラフィティアートを消すバイトをしている春は、放火の起きた場所とグラフィティアートが落書きされた場所が同じであることに気づく。春は泉水を誘い、手分けして深夜の街で放火犯が現れるのを見張るが、2人をあざ笑うようにすぐ近くでまたしても火の手が上がった。放火と落書きにどんな関係があるのか考えていた泉水は、落書きに添えられた英単語の頭文字にある規則性があることに気づく。それは人の遺伝子配列に一致していたのだ。だが、わかったのはそれだけで、そこから先へ考えを進めることはできなかった。
そんなある日、泉水は大学院の友人
山内
から、24年前に起きた連続レイプ事件の犯人
葛城由紀夫
が、この街に舞い戻ってデリヘル店を経営していることを知らされる。泉水は母の梨江子が24年前に葛城が起こした連続レイプ事件の被害者であり、その時身ごもった子が春であることを知っていた。そして、葛城のマンションを訪れて葛城と会った泉水は、意識が微塵もないどころか、むしろ誇らしげにレイプの話をする葛城に押さえがたい怒りを感じ、葛城を殺害しようと決意するのだった。
ところが、そんな泉水の決意が揺らぐ事態が発生した。以前から時折見かける謎の美少女を追って、なぜ自分をつけ回すのかを問い詰めたところ、彼女は驚くべき事実を語り始めた。彼女の正体は以前にも春をストーカーのように追いかけていた少女
夏子
で、彼女がつけ回していたのは泉水ではなく春であること。そして、春が葛城と何度か会っているところを彼女は目撃していたのだ。もしかして春は葛城が自分の父親であることを知っているのか?不安を覚える泉水に追い打ちをかけるように、さらに夏子は衝撃的な目撃談を語るのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
原作となる小説を読んだことはないが、この作品を観る限りではとても傑作などとは呼べないように思える。少なくとも、オフィシャルサイトに書いてあるような「道の感動に涙する」ような感覚には全くなれなかったし、ミステリーとしては切り込みがあまりに浅いように感じた。舞台となった宮城での先行上映で記録的なヒットを記録したようだが、その事実すらにわかには信じがたい。もっとも、「映像化は不可能と言われた・・・・・」小説だったらしいから、原作の面白さを充分には伝え切っていない可能性はあるだろう。『フィッシュストーリー』にこの作品と、立て続けに伊坂作品を原作にした映画に触れたこともあり、一度原作となった小説を読んでみようと思っている。
この作品を観て驚いたのは、岡田将生ってこんなに演技が上手かったのかということだ。今まで『天然コケッコー』に始まり何作か彼が出演する作品を観てきたが、お世辞にも演技が上手いとは言えない、これが彼に対する率直な印象だったから。そして、逆に加瀬亮がこれほど演技が下手だったのか、という疑問も同時に抱いた。そして、加瀬亮という俳優をもしかしたら過大評価していたのかもしれない、今回の岡田将生の演技がが上手く感じたのは、実は単に上手いと思っていた加瀬亮が下手な分、それと比較したために上手いと錯覚しただけのような気もする。
それに対して、周囲を固める役者陣は実力者揃いだったのは助かる。特に渡部篤郎は、ああいう憎まれ役を演じさせたら本当に絞め殺してやりたいと感じさせるほどに、徹底した役作りはさすがとしか言いようがない。また、出番は少ないものの、『蛇にピアス』に主演した吉高由里子が、重要な役割を担う夏子役で出演していたことを、エンドクレジットを観て初めて知った。作品中では、このキレイな女の子、演じてる女優は誰なんだろう?と気になっていたのだが。彼女に関しては、このまま脇役専門に落ち着いてしまいそうなのが残念な限りだ。