評     価  

 
       
File No. 1044  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年08月22日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   佐藤 信介  
       
上 映 時 間   99分  
       
公開時コピー   あなたの忘れてしまったモノが
この島にあります。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト
(声の出演)
  綾瀬 はるか [as 遥]
沢城 みゆき [as テオ]
戸田 菜穂 [as 遥の母h]
大森 南朋 [as 遥の父]
谷村 美月 [as 美穂]
家弓 家正
松元 環季
 
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あ ら す じ    幼い頃にを亡くし、に育てられた高校生のは、ある日子供の頃に遊んでいた武蔵野の神社に訪れた。人気のなくなった夕方、子供たちが置き去りにしたおもちゃの飛行機が勝手に動き出すのに気づいた遥は、それをきつねらしき生き物が拾い上げるのを目の当たりにする。そして、きつねは飛行機ばかりか遥の荷物やキーホルダーまでを持ち去っていく。きつねの跡を追った遥は、きつねが姿を消した辺りで小さな水たまりを見つけると、その水に手を入れてみた。すると、遥は一瞬にして水たまりに吸い込まれ、不思議な世界に飛び込んでしまった。
 そこは、人間がほったらかし=“ホッタラケ”にしたもので作られた“ホッタラケの島”で、遥はそこに母からもらって大切にしていた手鏡があることを確信する。そして、遥は荷物とキーホルダーを持ち去ったきつねのような島の住人テオに、キーホルダーをあげるかわりに彼女の手鏡を探す手伝いすることを承知させた。そして、人間が入ってはいけないホッタラケの世界で、遥は仮面を付けて島の住民に気づかれないように行動することになった。
 遥とテオは島で鏡を扱う店に訪れ、店主からその手鏡は男爵の持ち物だったが盗まれてしまったことを知る。そして、鏡を探して島の地下にある盗賊の住み家へ忍び込んだ2人は、そこで手鏡を見つけて地上へ持ち帰ることに成功した。ところが、地上で2人の戻るのを待ち受けていた男爵に手鏡を奪われたうえに、遥は記憶を消されて男爵の召使いにされることになってしまった。テオが男爵と裏で取引をさせられており、手鏡を男爵の元へ取り戻す手引きをしていたのだ。しかし、遥が男爵の召使いにされるなどとは思ってもいなかったテオは自分のとった行動を深く後悔し、男爵に逆らっても遥を助け出そうと決心するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    正直観る前はこの作品自体が“ホッタラケ”になるんじゃないかと思っていたのだが、観てみるとこれが予想外に面白い。まず、私は宮崎駿作品や先日観た『サマーウォーズ』のような人の手になる本来のアニメが好きだったのだが、この作品のようなCGアニメーションも悪くない、いや、それどころかむしろかなり気に入ってしまった。確かに、蝋人形のような人肌の質感に抵抗は残るものの、時として実写ではないかと錯覚するそのリアルさは評価に値する。そして、アニメならではの鮮やかなホッタラケの島の景観は、そのゴチャゴチャとした様子と相まって実に楽しい。こういう世界観を作り出せるのは、やはり実写ではなくアニメならではのことだろう。そして、飛行機がレールの上を疾走するシーンを筆頭にスピード感にあふれた描写も半端じゃなくて、あたかも自分自身が遥と一緒にいるような感覚にとらわれる。
 主人公の遥の声が綾瀬はるかだったとは、ちょっとした洒落心のなせる業だろうか。エンド・クレジットでキャスティングを観るまでは、てっきりプロの声優が演じていたと思い込んでいたほど、彼女の吹き替えが自然で違和感を感じさせなかったのは凄い。それに対して、遥の父を担当した大森南朋のあまりに歯切れの悪い吹き替えは、唯一キャスティングの失敗だと思う。せっかく『ハゲタカ』では評価が上がったのに、この作品で一気に株を下げてしまった大森南朋って、どうしても好きになれないんだよね。悪役の男爵の声は、てっきり細川俊之だと思ったら、どうやら違っていたようだ。
 尺は99分とちょうどいい感じだし、泣かせるツボはしっかり押さえてあるし、テンポも非常にいい。子供が観ても退屈したり飽きることはないだろう。そして、観終えた時、夢から覚めたような余韻だけが残り、全く疲労感を伴わないのもいい。遥と一緒にひとときの夢を見せてくれる、そんな秀作だと思う。