評     価  

 
       
File No. 1145  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月30日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中村 義洋  
       
上 映 時 間   139分  
       
公開時コピー   無実の男、首相暗殺犯に断定  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   堺 雅人 [as 青柳雅春]
竹内 結子 [as 樋口晴子]
吉岡 秀隆 [as 森田森吾]
劇団ひとり [as 小野一夫]
柄本 明 [as 保土ヶ谷康志]
濱田 岳 [as キルオ]
渋川 清彦 [as 岩崎英二郎]
ベンガル [as 轟静夫]
大森 南朋 [as 樋口伸幸]
貫地谷 しほり [as 凛香]
相武 紗季 [as 井ノ原小梅]
永島 敏行 [as 小鳩沢]
石丸 謙二郎 [as 近藤守]
ソニン [as 鶴田亜美]
でんでん [as 児島安雄]
滝藤 賢一 [as 整形後の青柳雅春]
木内 みどり [as 青柳照代]
竜 雷太 [as 大杉憲司]
伊東 四朗 [as 青柳平一]
香川 照之 [as 佐々木一太郎]
 
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あ ら す じ    仙台市内に暮らす宅配便ドライバー青柳雅春は、地元出身の金田首相の凱旋パレードが行われる日、大学時代の友人森田森吾から釣りに誘われる。ところが会ってみると、森田は釣りの準備など全くしておらず、それどころか青柳に対して不可解な警告をする。青柳が首相暗殺のオズワルドにされるというのだ。森田は何者からか青柳を呼び出すことを頼まれ、指定された時間まで青柳を薬で眠らせたという。そして、首相のパレード開始後15分に、首相を乗せた車が大爆発を起こした。そして、現場から離れた場所に停められた森田の車へ、2人の警官が近づいてくる。森田に「何が何でも逃げて生き延びろ」と言われて車を降りた青柳は、いきなり発砲し追いかけてくる警官から逃げ出すと、背後では森田を乗せた車が爆発してしまう。
 青柳の携帯に、先日知り合った女性井ノ原小梅から連絡が入る。彼女のアパートに来ないかと言う誘いだった。しかし、アパートを訪ねてみると小梅の姿は見えず、間もなく警察が到着した。次に青柳は、大学の後輩小野一夫の部屋を訪ねるが、一夫から指定されたファミレスへまたしても警察が現れる。しかも、その一人小鳩沢に至っては、ショットガンで青柳を射殺しようと執拗に追ってきた。テレビでは事件現場近くのビル屋上で首相を爆殺したラジコンヘリを操縦する青柳の映像や、そのラジコンヘリの売り場を訪れた青柳の映像など、彼には全く身に覚えのない映像が公開されている。青柳はようやく事件の背後には想像も付かないような大きな力が働いていることを知る。
 そんな青柳に助けの手を差し伸べる者が現れた。それはあろうことか、連続殺人犯として指名手配されている通称キルオだった。また、大学時代の恋人で6年前に別れを告げた樋口晴子も青柳が犯人であることを信じられず、間接的に青柳を助けるようになる。四面楚歌の状況の中、青柳は自らの潔白を証明するためにある賭けにでるのだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    映画としては面白かったし、良くできていると思う。けれども、大きな疑問が何も解決されないままで終わってしまうために、消化不良というか欲求不満は残るし、また現実的な目で見ればあり得ないような設定も多い。ただ、おそらくそれらは映画の作り方云々ではなく、原作である小説自体に起因するものだとは思う。
 そもそも、なぜ堺雅人扮する青柳がオズワルドにされたかが全く不明だし、首相暗殺の真犯人が誰なのかもわからずじまいだ(とは言うものの、おそらく影で暗殺劇を仕組んだのは後任の首相となった海老沢だと思われるが)。私としては、なぜ首相暗殺のオズワルドに青柳が選ばれたか、そしてその真犯人が誰なのかが解き明かされて、青柳が身の潔白を証明できるのだろうと期待していたのだが、その点に関しては最後まで一切触れられていない。どうやら、国家権力を敵に回した一個人がどうやって逃げ切るかだけに焦点を絞られたストーリーのようだ。そして、事件発生から何ヶ月か経過して発見される水死体が青柳のものと断定されて解決をみるが、その水死体は明らかにスケープゴートだ。もしかしたら、ラジコンヘリの売り場に訪れたり、事件現場近くのビルの屋上でヘリを操作したのも彼で、結果的に口封じのために殺されたんじゃないだろうか。
 突っ込みどころも少なくない。まずは、冒頭で武器を所持しているわけでもない青柳に対していきなり発砲する巡査。街中でニコニコと笑顔を浮かべながらショットガンを撃ちまくる永島敏行扮する小鳩沢。それを見とがめて警告する派出所の巡査をも撃ち殺してしまうなどは、絶対にあり得ない。また、クライマックスで警察が麻酔銃を用意したことを知ってから、ほんの数時間というわずかな時間で花火を手配し、仙台市内のマンホールにあれだけの数の花火をセットするなども不可能。シリアスなドラマのようであって、実は一種のファンタジーとして観るべき作品なのかもしれない。ただ、そういった細部が気になってしまうのは私の悪い癖なので、そんなことを気にせずに観る分には充分に楽しめる作品であることは保証できるから、これから観ようと思っている方はご安心を。