評 価
File No.
1192
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年04月10日
製 作 国
日 本
監 督
宇恵 和昭
上 映 時 間
100分
公開時コピー
ド肝抜かれるほど、
幸せな日々。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
井上 真央
[as さおり]
ジョナサン・シェア
[as トニー]
国仲 涼子
[as 三佳]
戸田 菜穂
[as 遼子]
國村 隼
[as 正利]
大竹 しのぶ
[as 一江]
入江 雅人
[as 編集者]
川岡 大次郎
[as 伸介]
板東 工
[as 謙二]
パトリック・ハーラン
[as ポール]
ダンテ・カーヴァー
[as フランコ]
ジェームス・JJ・デ・バラード
[as クリス]
ガウ
[as ルーシー]
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あ ら す じ
漫画家を夢見て家を飛び出したイラストレーターの
さおり
は、とあるきっかけでアメリカ人の
トニー
と出会い、付き合うこととなった。トニーは漢字の美しさに魅せられて来日しただけあって日本語に堪能で、ことあるごとに日本語に対する疑問をさおりに投げかけてくるのだった。
佐緒里の姉・
三佳
が結婚することになり、さおりは式場にトニーを連れて行ってどさくさ紛れに外国人のダーリンを両親に紹介しようとした。さおりの母・
一江
はトニーの今時珍しい真面目で優しい人柄を気に入ってくれたのだが、頑固な父・
正利
はトニーとの国際結婚などは絶対に認めないとなす術もなく拒絶されてしまった。
父に認めてもらいたい一心で、漫画家になる夢だけでも実現しようと、ひたすら漫画に打ち込む日々を送るようになったさおり。トニーはそんなさおりを心配そうに見守りながらも、さおりの負担を減らそうと慣れない家事に手を染めるが、それが裏目に出てさおりの神経を逆なでしてしまう。そんな折、一江から正利が倒れて病院に担ぎ込まれたとの連絡が入り・・・・・。
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たぴおか的コメント
ただただこういう役柄がハマリ役であろう井上真央を観たさで臨んだ作品だったが、素直な作りながら上手くまとめ上げられていて、笑いあり感動ありの楽しめる作品で気に入った。実際に夫が外国人である夫婦のコメントが所々に挿入されていて、それがタイミングも抜群で非常に効果的。エンド・クレジットを観たら、作品の原作者である小栗左多里とその夫のトニー・ラザロの名前が載っていたから、おそらくはあの中の一組がそうだったのではないかと思う(確信はないが)。
日本人ならば当たり前のように使っている日本語に対して、外国人にしてみれば不思議に思える点が多々あるのは当然なのだが、この作品では日本人が考え出した「創作」ではなく実話が基になっているだけに、思わず笑ってしまうのと同時に外国人特有のユニークな着眼点には「なるほど」感心することしきりだった。「ぶん殴る」がなぜ「ぶん」なのか?なんて疑問は、日本人にはまず考えつかないだろう。そして、極めつけの「ここで会ったが百年目」には、さおり同様に観ていた私も度肝を抜かれてしまった。
キャスティングが素晴らしく、井上真央はもちろんのこと、その両親に扮した國村隼と大竹しのぶ、そしてダーリンのトニーを演じたジョナサン・シェアが実に個性的でいい演技を見せてくれている。特に映画出演は初めてというジョナサン・シェアは、その演技慣れしていないところが逆に新鮮で、そのちょっとオドオドしたような態度といい、ポツリポツリとしたしゃべり方といい、いかにもトニーらしい(って、一体どんなだ?)キャラクターを作り上げているんじゃないかな。
また、大竹しのぶ扮するさおりの母・一江がトニーのことを諦めかけたさおりに言った言葉は至言だ。「相手が外国人だからじゃない。日本人同士でも隙間はできる。さおりはそれを埋める努力をせずに逃げているだけだ」という趣旨の言葉なのだが、これは男女関係に限らず遍く人間関係全般に当てはまる。互いに譲歩し相手に歩み寄ることなしに、人間関係は成立することはないのだ。とどのつまりは(こんな言葉を使ったら、トニーだったらすかさず食らいついてくるだろう(笑))人に優しくなることが大事、そんな穏やかなメッセージがさり気なく込められているような、ホンワカした雰囲気が心地いい作品だ。