10月6日が「10(ト)6(ム)の日」という語呂合わせで先行上映が行われるからには是が非でも行かなければと、仕事を終えて帰宅してから21:30分の回に望んだ。まず勘違いしてはいけないのは、この作品は決してスパイアクション作品ではないということ。劇場の予告編で観てわかるとおり、トム扮するロイとキャメロン・ディアス扮するジューンのロマコメで、そう思って観れば期待に充分応えてくれる内容であることは保証する。TOHOシネマズの秋の新作紹介で、クリス・ペプラーが「最高のデートムービー」と断言しているのもその辺りに理由がある。
このところ米メジャーの制作会社と契約を打ち切られたりと、ハリウッドではあまり評判が芳しくないトム・クルーズだが、彼の凄いところはファンを楽しませるという点においては一切の妥協がないということだと思う。来日してあれほどファンに対するサービス精神が旺盛なハリウッド・スターは他にいないだろう。そのトムが演じるロイが、善人なのか悪人なのか、正気なのかそれともどこか壊れちゃってるのか、どっちとも判別がつかない謎めいたキャラクターに仕上げているのはさすが。ジューンが恋人(?)のロドニーに、突然現れたロイが誰かを尋ねて、ジューンが“This is the guy(さっき離していた男よ)”と答えたのを受けて、ロイもロドニーにおどけて“I'm a guy(僕はsコイツだ)”と繰り返すシーンは、この作品の中でも最も気に入っているシーンの一つだ。そして、私よりも歳上にもかかわらず、体を張ったアクションをこなしているのは尊敬に値する。
そして、ジューンを演じたキャメロン・ディアスが可愛い。他の女優ならともかく、彼女を相手役に起用した以上は、この作品は絶対にコメディでなければいけない(笑)。アントニオに自白剤を注射されて、次から次へとアントニオに悪態をつくシーンはサイコーだ。また、前半は完全にロイに引っ張り回されていたジューンが、後半では逆にロイを引きずり回す側に転じるのが観ていて面白い。前半では何度もロイに薬を飲まされて意識を失ったジューンが、最後には逆にロイに薬を飲ませて連れ去るという対照的な描写もいい。前半では気づいたらビキニを着ていたジューン、ラストでは意識を取り戻したら短パンに履き替えていたロイ。予告編で何度も聞かされたロイの“With me, without me”という台詞までもジューンがしっかりとコピーしていたのには笑った。