評     価  

 
       
File No. 1312  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年11月13日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ブレック・アイズナー  
       
上 映 時 間   101分  
       
公開時コピー   あなたの友人も、
家族も、恋人も
一杯の水で凶暴(クレイジー)になる
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ティモシー・オリファント [as デヴィッド・ダットン]
ラダ・ミッチェル [as ジュディ・ダットン]
ジョー・アンダーソン [as ラッセル・クランク]
ダニエル・パナベイカー [as ベッカ・ダーリング]
クリスティー・リン・スミス [as ディアドラ・ファマム]
ブレット・リッカビー [as ビル・ファマム]
プレストン・ベイリー [as ニコラス]
ジョン・アイルウォード [as ホッブス市長]
ジョー・リーガン [as ビリー・バブコック]
ラリー・セダー [as ベン・サンドボーン]
マイク・ヒックマン [as ローリー・ハミル]
リサ・K・ワイアット [as ペギー・ハミル]
ジャスティン・ウェルボーン [as カート・ハミル]
 
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あ ら す じ    アイオワ州ピアス郡にある小さな町オグデンマーシュで保安官を務めるデヴィッド・ダットンはある日、保安官補のラッセル・クランクと共に野球を観戦していた。すると、試合中にもかかわらず銃を携えた男がグラウンド内に立ち入ってきた。デヴィッドはその男ローリー・ハミルに銃を置くよう警告したが、ローリーはデヴィッドの言葉など聞こえないかのように重厚をデヴィッドに向けてきたため、デヴィッドはやむなく彼を射殺してしまう。
 同じ頃、女医であるデヴィッドの妻・ジュディが勤務する町の医療センターへ、夫・ビルの様子が変だから診察して欲しいとディアドラが付き添って訪れていた。ジュディは一通り診察したものの特に異常はなく、何かあったら連絡するよう伝えて夫妻を送り出した。ところがその夜、ビルは妻と子を部屋に閉じ込めたうえで家中に灯油を撒いて火を点け、2人を家もろとも焼き尽くしてしまったのだった。
 翌日、森の奥の沼地で密猟者たちが遺体を発見したとの通報を受け、デヴィッドとラッセルはボートで川を探索した結果、川底に大型機が沈んでいるのを発見する。川の水は町の飲料水として使われており、水はまずローリーの家へ供給され、次はビルの家に届いていることから、デヴィッドは飛行機の積荷から有害物質が流出したのではないかと考え、市長に無断で給水をストップさせた。しかし時すでに遅く、水を飲んだ者たちは次々とローリーやビルのように精神に異常を来していった。しかも、そのことを通報しようにも携帯もネットも遮断されてしまっていて使い物にならなかった。
 その夜、デヴィッドとジュディは防護服を着た集団に身柄を拘束され、他の町の人々と共にバスに乗せられて高校のグランドへと連行されてしまう。そしてそこではガスマスクを着けた軍隊が、連行されてきて人々を次々と検査した上で2組に分別していた。デヴィッドには異常が認められなかったが、妊娠しているために体温が高かったジュディは異常があると見なされてデヴィッドと引き離されてしまう。
 ジュディを助け出すためにデヴィッドは保安官事務所へ戻り、隠れて連行を逃れていたラッセルと共に再び高校へと向かった。2人はジュディと彼女の医療助手をしていたベッカを助け出すと、町からの脱出を試みるのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ゾンビ映画の巨匠ともいうべきジョージ・A・ロメロが脚本・監督を務めた1973年の『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』のリメイク版・・・・・・というのは実は、恥ずかしながら作品を観終えてからオフィシャルサイトで初めて知った。最近のゾンビは化学物質やウイルスに感染してというパターンが主流になっているが、37年前に製作されたこの作品のオリジナルもやはり細菌兵器によってゾンビ・・・・・というか、理性を失い精神状態が著しく不安定になるというもので、もしかしたらこの手のニュータイプのゾンビを描いた草分け的存在の作品なのかもしれない。
 主演のデヴィッドを演じたのは、『ヒットマン』でスキンヘッドの暗殺者を演じたティモシー・オリファント。あのときは強烈なインパクトのあるキャラクターだったが、髪が普通の長さに戻った彼はこれといった特徴もなく、2、3日も経てば顔を忘れてしまいそうだ。そして、彼の妻を演じたのが『マイ・ボディガード』や『サイレント・ヒル』、『モーツァルトとクジラ』のラダ・ミッチェルで、私がこの作品を初日に劇場で観ることに決めた大きな理由のひとつが彼女の存在だったのだ。
 この作品で最も怖いのは理性を失ってゾンビ化した人々ではなく、むしろ正気を保った人間の方が遙かに恐ろしい。軍隊が町の人々を連行して仕分けしたまではいいが、結局は感染者も非感染者も無差別に始末してしまうその理不尽さもさることながら、その始末の手段というのが町ごと爆破してしまうという、大なたで一刀両断するようなやり方はまさにはただただ唖然とするしかない。しかも、ウイルスを町ごと封じ込めると言うミッションのターゲットが、実はオグデンマーシュの町だけではないという救いのなさには打ちのめされてしまった。
 どうでもいいけど、一家の主をデヴィッドに射殺された恨みをゾンビになってまで晴らしに来たペギーとカートに襲われた時、デヴィッドが自分の手に刺さったままのナイフでペギーを刺したが、あんな真似をして血液からウイルスに感染しないものだろうか?おかげで、いつデヴィッドがゾンビ化してラダ・ミッチェルを襲うんじゃないかと、私はその点に一番ハラハラさせられた(笑)。