評 価
File No.
1333
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年12月23日
製 作 国
日 本
監 督
和泉 聖治
上 映 時 間
119分
公開時コピー
あなたの正義を問う。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
水谷 豊
[as 杉下右京]
及川 光博
[as 神戸尊]
小西 真奈美
[as 朝比奈圭子]
小澤 征悦
[as 八重樫哲也]
宇津井 健
[as 金子文郎]
國村 隼
[as 長谷川宗男]
石倉 三郎
[as 三宅貞夫]
葛山 信吾
[as 磯村栄吾]
平 岳太
[as 丸山英明]
品川 徹
[as 田丸寿三郎]
名 達男
[as 松下伊知郎]
江波 杏子
川原 和久
[as 伊丹憲一]
大谷 亮介
[as 三浦信輔]
山中 崇史
[as 芹沢慶二]
山西 惇
[as 角田六郎]
六角 精児
[as 米沢守]
神保 悟志
[as 大河内春樹]
小野 了
[as 中園照生]
片桐 竜次
[as 内村完爾]
原田 龍二
[as 陣川公平]
益戸 育江
[as 宮部たまき]
岸部 一徳
[as 小野田公顕]
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あ ら す じ
警視庁本部内で会議中だった、田丸警視総監、長谷川副総監らを筆頭に各部の幹部12名が人質となる籠城事件が発生した。窓からロープでぶら下がった
杉下右京
が現場を撮影した画像から、犯人は元・警視庁の刑事だった
八重樫哲也
だと判明すると、杉下の懸命な制止にもかかわらず、現場の指揮を執っていた
中園参事官
はSITと機動隊を会議室へ強行突入させた。
事態は既に終息しており、人質12名は全員が無事だったものの、犯人の八重樫は高官数名ともみ合った際に暴発した銃弾に撃ち抜かれ、既に息を引き取ってしまっていた。事件後に行われた
大河内監察官
による事情聴取の場でも、12人は言葉を曖昧に濁らせて誰も明確な証言をする者はいなかった。
八重樫が人質籠城事件を起こした動機も不明のままで事件が終わってしまったことに疑問を持った杉下と
神戸尊
の特命係は、神戸が事件前にエレベーターで八重樫と遭遇した時、彼の手から救い出した女性が総務部装備課の
朝比奈圭子
だと突き止め、独自の捜査を開始した。
杉下と神戸が調べていくうちに、7年前に八重樫と圭子が関わったマフィア摘発事件の裏に隠された大きな陰謀が次第に明らかになっていく。そして一方では、警察庁幹部の
金子警察庁長官
と
小野田官房室長
らが不穏な動きを見せ始める。巨大な権力の渦中に巻き込まれていった特命係・杉下と神戸は、果たして事件の全貌を明らかにできるのだろうか・・・・・?
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たぴおか的コメント
う〜ん、やっぱりどこをどう観ても、私にとっては某お台場テレビの『踊る○捜査線』シリーズよりはこっちの方が遙かに面白い。てんでお話にならなかった3作目『ヤツらを解放せよ!』はともかくとしても、1作目と2作目のいいところ取りしても『相棒』に及ばないと思う。そもそも、『踊る』シリーズにしばし登場するようなあまりにもくだらない、観ている者をバカにしているのではないかとさえ思える小ネタ(例えばスリー・アミーゴズや2作目のナイナイの岡村)が『相棒』には見られないだけでも相当大きなアドバンテージだ。まぁ、『相棒』が比較的本格的な刑事ドラマに近い位置にあるのに対し、『踊る』は明らかにそれとは違うベクトルの作品(もはや3作目に至っては単なるドタバタ劇としか言いようがなく、観るべき点は皆無)だから、仕方ないのかもしれないが。
いつもは人のいい、どちらかと言えば人格者を演じることが多い宇津井健が、この作品では珍しくクセのある役柄を演じているのだが、彼以外は品川徹や國村隼、岸部一徳といった、揃いも揃って曲者ばかりで、誰が裏でどんな悪事に手を染めているのかわかったもんじゃない(笑)。もしも現実の日本の警察高官もこんな輩で構成されているのであったら、法治国家・日本は既に崩壊してしまっているよ(笑)。
『行きずりの街』に続いてお目見えとなった小西真奈美が、いい感じで男ばかりの出演者の中に花を添えている。もちろん役柄もしっかりと押さえているのは言うまでもなく、相変わらずこういう過去に影を背負ったような女性役が似合っている。益戸育江(高樹沙耶)が歳をとったことを露骨に感じさせるために、余計小西真奈美の存在が光って見える・・・・・って、ひいきの引き倒しだね(笑)。
それにしても、絶対的な権限を持つ大統領やその直轄組織である情報機関のCIAといった組織が存在しない日本では、警察組織はもっとシンプルだと思いたいのだが、実際には日本にも内閣総理大臣の所轄下に国家公安委員会という行政委員会が設置されていて、その委員会の特別機関として岸部一徳扮する小野田や宇津井健扮する金子が所属する警察庁があり、さらにその警察庁の内部機関として警備局・公安課というCIAに似通った位置づけの組織が存在するようだ。ただ、その辺りの警察組織について詳細を性格に知る観客は少ないだろうから、この作品を理解するためには予習か復習が必要になるようだ。そして、それらの組織系統を知った上で振り返ってみると、岸部一徳扮する小野田官房室長に真っ向と対峙する杉下が、いかに自分よりも強大な相手に向かっていたか、それがいくら正義を貫くためだとしても無謀な行為であったかが改めて理解できる。
余談だが、“正義”といえば小野田が神戸に向かって実に興味深い言葉を吐いている。「まさか、絶対的な正義があるなんて信じてる?」と。小野田の言うとおり、“正義”なんて概念はそのシチュエーションによって千差万別であり、ある状況下での正義が別の状況下では悪だ、なんていうケースも当然存在する。だから、真実を隠蔽してでも警察組織の改革を断行しようとした小野田は彼なりの正義に則って行動していたのであって、それに対してあくまで真実を明らかにしようとした杉下や神戸ら特命係もまた彼らの正義に基づいて行動していた。残念ならが両者が拠り所とする正義が別のベクトルを指していただけのことなのだ。まぁ、真実を隠蔽し犯罪者を裁かないことが“正義”だと思うようなシチュエーションにいる人間はごく少数に限られるんだけどね。