原題“MOTHER AND CHILD”の通り、いくつかの母親と娘のエピソードを織り交ぜながら、見事に一つの映画に昇華させた作品。もちろん、私の目当てはナオミ・ワッツだったのだが、まだまだ若いと思っていた彼女も既に40歳を越えているとは・・・・・。にもかかわらず、ここ数年は年を経るごとに表情に柔和さが増して、ますます美しくなっていくように思える。彼女がマリリン・モンローを演じる『Blonde』の日本公開が待ち遠しい。この作品で彼女のたぴおか的女優ランキングの上位に名を連ねることになったのは間違いない。
生まれた日に母に捨てられたエリザベスだからこそ、アクシデントとはいえ身籠もった新しい命を堕ろすことができなかったのだろう。その上、今まで築き上げてきたキャリアをすべて棒に振ってまで子供を育てようという決意は、並大抵ではないと思う。自分が母の愛情を知らない分だけ、自分の子には愛情を注いで育ててあげたい、そんな気持ちの表れなのだろうか。残念ながら男である私には、妊娠・出産というイベントだけはどうあがいても経験することができないから、単に想像するしか術はないのだが、少なくとも男親が子供を思う気持ちよりも、自らの腹を痛めて子供を産む女親の方が子供を思う気持ちは強いのではないだろうか。
そんなワケで、母親の子供を思う気持ちなど実際には死ぬまでわからないだろう私には、通り一遍のことしか言うことはできないのだが、おそらく女性、しかも出産を経験して母親になった女性にとっては、私なんかよりも感じるところはひとしおだろうと思う。カレンとエリザベスが果たして会うことができるのか、その結末にはかなりの衝撃というかショックを受けたものの、ラストは2人の思いがちょっと報われるような結末で救われた気がする。