評     価  

 
       
File No. 1358  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年02月04日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   オリヴァー・ストーン  
       
上 映 時 間   133分  
       
公開時コピー   欲望は、罪なのか。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マイケル・ダグラス [as ゴードン・ゲッコー]
シャイア・ラブーフ [as ジェイコブ・ムーア]
ジョシュ・ブローリン [as ブレトン・ジェームズ]
キャリー・マリガン [as ウィニー・ゲッコー]
イーライ・ウォラック [as ジュリー・スタインハルト]
スーザン・サランドン [as シルヴィア・ムーア]
フランク・ランジェラ [as ルイス・ゼイベル]
オースティン・ペンドルトン [as マスターズ医師]
ヴァネッサ・フェルリト [as オードリー]
マイケル・ジェネット
ナタリー・モラレス
シルヴィア・マイルズ [as 不動産業者]
チャーリー・シーン
 
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あ ら す じ    2001年。インサイダー取引で実刑を言い渡されたゴードン・ゲッコーが、8年の服役を終えて出所した。唯一の肉親である娘ウィニー・ゲッコーとも疎遠になっていた彼は、誰に出迎えられることもない寂しい出所となった。
 それから7年が経過したニューヨーク。ゲッコーの娘ウィニーと結婚を前提として付き合っている恋人ジェイコブ・ムーアは、投資銀行ケラー・ゼイベルに勤務し若くして金銭的な成功を収めていた。次世代のクリーン・エネルギーへの投資も順調で、順風満帆だったジェイコブの人生だが、アメリカ経済の矛盾がっ表面化したことによって、根底から覆される日が訪れる。
 業績の悪化から急激に株価が暴落したケラー・ゼイベルが破綻してしまい、ジェイコブ自身もそれまで築き上げた資産を失ってしまう。そして、そんな彼に追い打ちをかけたのは、実の父のように慕っていたゼイベル社長のルイス・ゼイベルが電車に投身自殺してしまったことだった。失意の中、ジェイコブはウィニーにプロポーズし、ウィニーはそれを受け入れるのだった。
 ある日ジェイコブは、とある大学で行われたゴードンの講演会を聞きに訪れる。そして、公演終了後にジェイコブは、自分がウィニーと結婚することをゴードンに告げる。そして、ゴードンがウィニーとの関係の修復を切望していることを知ったジェイコブは、ゴードンにある取引を持ちかけた。それは、自分がゴードンとウィニーの中を取り持つ代わりに、恩師ルーを死に追いやった業界の超大物・ブレトン・ジェームズへの復讐をゴードンにサポートしてもらうというものだった。
 ジェイコブはウィニーとゴードンを引き合わせると、ゴードンから入手した情報を元にブレトンの懐に潜り込むことに成功した。ところが、ブレトンはジェイコブの仕掛けに乗らずに復讐計画が行き詰まった上に、ゴードンの思わぬ裏切りに遭ったジェイコブは、ウィニーとの関係にも亀裂を生じさせてしまうのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ウォール街を舞台にした熾烈なマネーゲームを期待していたのだが、全編にわたるあまりにぬる過ぎる雰囲気にはかなりガッカリさせられた。最低限でも邦画『ハゲタカ』で見られた程度のマネー・バトルは見られるだろうと期待するのは、世界最大の金融街であるウォール街を舞台にしているのだから、当然のことだろうと思うのだが。
 前作で懲役刑を食らったゴードン・ゲッコーが出所するところからストーリーは始まるが、服役時に務所預かりとなった所持品の中で、最後に返される携帯電話が時の流れを感じさせると同時に、ゴードン自身もその携帯電話同様に社会にとってはもはや過去の遺物と化していることを痛感させる。それでもまだトレーダーとして第一線に返り咲こうというその執念はさすがで、彼がその足がかりとして選んだのが、自分の娘・ウィニーの婚約者であるジェイコブだったとは、運命の悪戯だとしか言いようがない。
 ウィニーを演じたキャリー・マリガンだが、『17歳の肖像』の時に「高校生を演じても違和感がない」と書いた覚えがあるが、今回の髪を短く切り落とした彼女は“若く”ではなく“幼く”見え、それでいて目元だけは正直に実年齢を物語っているために、通常は魅力的に感じるそのアンバランスさが、彼女の場合は魅力的を通り越して滑稽にすら感じてしまう。3月に公開される『わたしを離さないで』ではキーラ・ナイトレイと共演する彼女だが、2人が同い年だとは到底信じられないのだ。
 巨額のマネーを手にしてウォール街に君臨するブレトンが、あんな些細なことから簡単に転落するものなのか。父・ゴードンをあれほどまでに拒絶していたウィニーが、ああも簡単に父を受け入れられるものなのか。また、金の奪い合いを「ゲームだ」と割り切っていたゴードンが、そのポリシーを曲げてまであんなことをするとは・・・・・どうも納得できない点が多いように思える。ラストでジェイコブとウィニーの子供を抱くゴードンは、もはやマネーゲームの達人でも何でもなく、平々凡々たるお祖父ちゃんに成り下がってしまっているのが残念で仕方ない。