評 価
File No.
1408
製作年 / 公開日
2010年 / 2011年05月14日
製 作 国
日 本
監 督
長崎 俊一
上 映 時 間
113分
公開時コピー
ねぇ、殺すって
どんな気持ちだった?
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
成海 璃子
[as 楠田瑠美]
忽那 汐里
[as 江嶋蘭]
森田 彩華
[as 北畠梨里子]
草刈 麻有
[as 来栖かなめ]
黒川 智花
[as 広瀬なつめ]
塩谷 瞬
[as 倭駆]
石井 正則
[as 平良弘明]
水本 諭
[as 瀬川雄介]
前田 健
[as 芽咲吾朗]
金山 一彦
[as 武本正弘]
清水 美沙
[as 江嶋千代子]
石黒 賢
[as 御蔵総一郎]
戸田 菜穂
[as 渡見恵子]
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あ ら す じ
廃墟となったホテルでのネットシネマの撮影に、マネージャーの
平良弘明
に伴われて訪れた新進女優の麻利亜。しかし、彼女の元には改訂されたというシナリオが届いておらず、壁には不気味な落書きがされていて、しかもいつの間にか衣装には脅迫状が仕込まれていた。何者かが自分を陥れようとしている、そう感じた麻利亜の記憶は、4年前の封印された過去へと遡る。
高校生の
楠田瑠美
は、演劇部の先輩や顧問の教師・
渡見恵子
と対立し、同じ演劇部の仲間・
北畠梨里子
と
来栖かなめ
、それに目を付けていた他校の生徒・
江嶋蘭
をも巻き込んで、劇団を立ち上げた。4人の名前にそれぞれ東・西・南・北が含まれていたことから、かなめの発案で劇団名は“羅針盤”と名付けられた。
ストリートでのライブから、羅針盤の活動はスタートした。舞台装置も衣装も質素だが、彼女たちの芝居は本物で、次第に羅針盤のライブには観客が集まるようになってくる。そして、そんな彼女たちに願ってもないチャンスが訪れる。若手演劇集団の登竜門ともいうべきコンクールへ出場することになったのだ。こうして、かなめの姉で女優の
広瀬なつめ
の後押しもあって、羅針盤の4人はコンクールへ向けて情熱のすべてを注ぎ込むのだった。
ところが、コンクールは実は出来レースで、最も観客からの賞賛が大きかった羅針盤は優勝することができなかった。4人のメンバーはそれぞれの悩みを抱え、それぞれ別のステージへと駒を進めようとしていた矢先、メンバーのひとりが何者かに殺されるという事件が起きた。そして現在、その真犯人である麻利亜は、羅針盤の残りのメンバーから廃屋となったホテルに誘い出されたのだった。果たして、羅針盤のメンバーの誰が殺されて、誰が殺したのだろうか・・・・・?
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たぴおか的コメント
天才・成海璃子が主演で『守護天使』の忽那汐里が共演するとあっては、これはもう絶対に見逃すわけにいかない(笑)。つーわけで、張り切って劇場へ行ってきたこの作品。冒頭で石井正則扮するマネージャーらしき男に伴われて、映画の撮影現場らしき場所にやってきた女優・舞利亜の顔が見えない。彼女が誰なのか、その大きな謎を提示したまま時間軸が過去へと遡って、以後は現在と羅針盤結成からメンバーの死までのエピソードが交互に展開する。
今回の璃子チャンはいつになくやたらと元気いっぱいなのが印象的だ。そして、意外な相手とのキスシーンがあったのにはビックリ。キスシーンまで普通じゃないのは、彼女の演技力が非凡であることの証し・・・・・・なんてワケないか(笑)。とにかくこの作品でもまた新しい一面を見せてくれる、変幻自在の成海璃子だったが、その反面、『守護天使』では「こんなに清楚で可愛い少女がこの世にいたのか?」と大袈裟じゃなく思った忽那汐里のオーラが、この作品では見られないのは寂しかった。きっと、私の中で彼女のイメージが膨らみすぎて、自分の中でイメージを勝手に膨らませ過ぎていたのかもしれないね。
伝説の高校生劇団・羅針盤のメンバーを演じた4人が、皆個性的で魅力的だ。自分が正しいと思ったことを貫き通す、成海璃子演じるリーダー格の楠田瑠美、主体性が無いように思えて実は縁の下の力持ち的な存在の、草刈麻有演じる来栖かなめ、いつも冷静で瑠美も一目置く、森田彩華演じる北畠梨里子、そして家庭に皆には言えない事情を抱えて悩む、忽那汐里扮する江嶋蘭。それぞれの名前に巧みに東・西・南・北が織り込まれていて、それが羅針盤という劇団名につながるのだが、瑠美が最初に提案した劇団名の「トン・ナン・シャ・ペイ」には思わず吹き出してしまった。まさか璃子チャンの口から麻雀ネタが出てくるとは、これっぽっちも予想してなかったからね(笑)。また、戸田菜穂が意地悪そうな教師役で出演しているが、こういう冷たい美人役が彼女にはとても似合っている。
その4人のうちのひとりが殺され、その犯人が新進女優・舞利亜であることは誰にでも推測がつくだろうが、問題は4人のうちの誰が舞利亜なのかという点だ。そして、私はただ璃子チャン扮する瑠美と汐里チャン扮する蘭が犯人でないことをひたすら願いながら観ていたことは言うまでもない(笑)。ただ、「誰が犯人か?」というサスペンス的な要素よりも、4人の少女が劇団を立ち上げて、苦労しながらも成功させていく、一種のサクセス・ストーリーとしての側面の方が好感が持てる。事実、クライマックスこそ謎解き的な要素で盛り上がるものの、作品の大半は羅針盤の過去の描写で占められているから。
そして、肝心の犯人なのだが、これには登場人物の誤解による陥穽が設けてあって、全く想定外の人物が犯人だった。詳しく書くとネタバレになるので、これ以上は何も言わないけど、おそらく真犯人を言い当てられる人はいないんじゃないだろうか。