評     価  

 
       
File No. 1515  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年12月01日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   スティーヴン・スピルバーグ  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   今、勇気ある冒険が始まる。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジェイミー・ベル [as タンタン]
アンディ・サーキス [as ハドック船長/フランシス・ド・アドック]
ダニエル・クレイグ [as サッカリン/レッド・ラッカム]
サイモン・ペッグ [as デュポン]
ニック・フロスト [as デュボン]
トニー・カラン [as デルコート]
トビー・ジョーンズ [as シルク]
ガド・エルマレ [as ベン・サラード]
マッケンジー・クルック [as アーニー]
ダニエル・メイズ [as アラン]
ケリー・エルウィス [as パイロット]
フィリップ・ライズ [as パイロット]
 
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あ ら す じ    400年前、世界の歴史を変えるほどの巨額の財宝を積んだユニコーン号が、海賊レッド・ラッカムの襲撃を受けて消息を絶った。マーケットでそのユニコーン号の模型を見つけて購入した青年タンタンは、その模型が原因で予想もしなかった冒険に足を踏み入れることとなった。一足遅く模型を手に入れ損なったサッカリンからしつこく模型を譲るように頼まれたタンタンだったが、その申し出をきっぱり断って模型を持ち帰る。ところが、その翌日に忍び込んだ何者かに模型を奪われてしまう。
 盗まれた模型を探し求めて、アドック卿が済んでいたという城に侵入し、そこで思いがけない人物と再会する。マーケットで模型を譲るよう強要してきた、あのサッカリンだった。そして、彼の部屋にはタンタンが買ったものと同じユニコーン号の模型が飾られていた。それが自分の物とは違うと知ったタンタンは、そのまま城を立ち去らざるを得なかった。
 模型を盗んだ犯人の狙いは、模型の帆柱の中に隠されていた羊皮紙だった。それは前日に、タンタンの愛犬スノーウィが部屋の中で猫を追った際に模型を壊してしまい、そのときに帆柱の中から落ちて家具の裏側に転がり込んでしまったもので、タンタンはその時は羊皮紙の存在にすら気づいてはいなかった。そして、スノーウィに教えられて羊皮紙を探し出したタンタンは、それがユニコーン号の行方の謎を解く鍵だと確信する。ところが、羊皮紙がないことに気づいた模型を盗んだ相手は、今度はタンタン自身を拉致してとある貨物船内に監禁するのだった。
 スノーウィの助けを借りて拘束を逃れたタンタンは、船内の一室でアドック卿の子孫であるハドック船長と出会う。ハドックを監禁し、今またタンタンを拉致してきたのはサッカリンで、彼はユニコーン号を襲った海賊レッド・ラッカムの末裔だったのだ。ユニコーン号の模型がもう1台存在し、それをサッカリンが狙っていることを知ったタンタンとハドックは船を抜けだし、サッカリンより先に3代目の模型を手に入れるべく新たな冒険に乗り出すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ベルギーの作家ベルジェの世界的人気コミックを原作に描かれたアニメで、私も今までにタンタンを何度も目にしていることに、作品中のワンシーンを観て初めて気づいた。タンタンが自分の似顔絵を描いてもらっているシーンから幕開けとなるのだが、その似顔絵がコミックのタンタンになっていて、なかなか上手い紹介をしてくれるなと、その時はちょっと期待してしまった。また、シルエットで展開するオープニングも洒落ていて悪くなかったし。
 スピルバーグの初アニメ作品にして初の3Dという初物尽くしのこの作品、実は劇場で観るべきかやめるべきか迷っていた。だから、公開初日の12月1日には『50/50 フィフティ・フィフティ』を選んだ。幸か不幸か、12月3日の夜に予定がなかったため、選んだのは時間の都合で3Dの日本語吹き替え版になった。そして、観終えてから字幕版を選ばなくて良かったとつくづく思った。とにかくあまりに目まぐるしく場面が展開するから、字幕版だったら途中で疲れて睡魔に襲われていたかも知れない。スピルバーグ作品にしては尺も短めで、決して退屈しない作品ではあったと思うが、誰かに「タンタンは観るべきか?」と訪ねられたら「どうしても観たければ観たらいいけど、無理して観るほどでもない」と答えるだろう、そんな作品だった。
 失われた財宝を求めて敵と戦いながら冒険を繰り広げるなんて、誰もが感じることだろうがこの作品は「アニメ版インディ・ジョーンズ」とでも言うべき作品に仕上がっている。サイドカーでチェイスを繰り広げるシーンを筆頭に、随所でデジャヴにとらわれるのもそのためだ。そして、パフォーマンス・キャプチャーを使って描かれた3D映像は、実写版とも従来のアニメとも異なる斬新で不思議な世界感を作り出しているのだが、私は正直この作品の映像はあまり好きになれない。アニメにしてはあまりにリアル過ぎて気持ち悪い、というのが正直な感想だ。特にハドック船長やサッカリンのように極端にデフォルメされたキャラクターと比べると、タンタンはあまりに没個性でそのうえ年齢不詳な顔をしていて、魅力が感じられないのはツライところだ。
 さらに言えば、この手の作品に不可欠だと思われるヒロインが存在しないのも寂しいものがある。いや、ヒロインどころか女性キャラクターさえ、たった一人しか登場しないのだ。そもそも原作にも女性キャラが存在しないのだったら、仕方ないことだとは思うけどね。