評     価  

 
       
File No. 1818  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年06月14日  
       
製  作  国   スペイン / アメリカ  
       
監      督   J・A・バヨナ  
       
上 映 時 間   114分  
       
公開時コピー   生きる希望は、奪えない。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ナオミ・ワッツ [as マリア]
ユアン・マクレガー [as ヘンリー]
トム・ホランド [as ルーカス]
サミュエル・ジョスリン [as トマス]
オークリー・ペンダーガスト [as サイモン]
ジェラルディン・チャップリン [as 老婆]
ジョアン・サンドバーグ [as ダニエル]
ダグラス・ヨハンソン [as Mr.ベンストロム]
 
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あ ら す じ    2004年、12月。マリアヘンリーの夫婦は、3人の息子ルーカストマスサイモンを連れて、タイのリゾート地を訪れる。しかしクリスマスの翌日、スマトラ沖でマグニチュード9.1の地震が発生する。これにより起きた巨大津波は彼らの滞在するタイにまで押し寄せ、すべてのものを飲み込み押し流してしまう。
 かつてない大災害に直面した一家は離れ離れになってしまうが、傷を負いながらも、再会を目指して前に進むのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ナオミ・ワッツが主演女優賞にノミネートされた作品で、おそらくはこれが最後のオスカーノミネート作の鑑賞になるんじゃないだろうか。これを観る前は、オスカー主演女優賞はジェニファー・ローレンスで当然だろう、なんて思い込んでいたけど、この作品でのナオミ・ワッツの演技も捨てがたく、22歳という若さのジェニファーだったら、今後まだまだオスカーを受賞するチャンスはあるだろうから、今回はナオミが受賞しても良かったんじゃないの?なんて思ってしまった。
 実在する家族が2004年のスマトラ沖地震で実際に体験した事実を基に描かれた作品で、真実のみが持つ動かしがたいリアリティが圧倒的に迫ってくる。東日本大震災を経験した日本にとっては、その恐ろしさを身をもって経験しただけに、他人事では済ませられない。東日本大震災で2万人だった死者・行方不明者が、スマトラ沖地震ではその10倍以上にも及ぶというとてつもない被害を被った中、津波にのみ込まれた5人の家族が全員生きていたというのは、ある意味奇跡に近い状況だと言っていいだろう。
 主演のナオミ・ワッツが相変わらず若くて美しく、とても40代半ばとは思えない。30代の頃よりも40代の今の方が、より美しさに磨きがかかったんじゃないだろうか。そんな彼女だけに、津波に飲まれて全身泥まみれの傷だらけになった姿を見せられるのは痛ましい。病院のベッドの上では、さらに顔色も黒ずんで(おそらく、あのメイクはゾンビのメイクと同じなんだろうな、なんて余計なことを想像したけど)しまい、瀕死の状態に陥ってしまうのを観ているのは、本当に辛かった。
 自分がそんな状態に陥りながらも、誰の子か分からないダニエルを助けて病院までたどり着くことができたのは、おそらくは長男のルーカスが一緒にいたからで、それは母親としての強さだろう。一方のユアン・マクレガー扮する父親のヘンリーが、心なしか頼りなく見えてしまう。
 バラバラになった家族が、どうやって再会するのかは、多少の演出もあるのだろうが、ヘンリーとルーカスが何度かニアミスを繰り返すくだりにはハラハラさせられる。それだけに、ついに家族全員が再会できたシーンでは感動もひとしおだ。この作品を観て「涙が止まらない」なんてコメントがあるのもよくわかる。ただ、彼らのように全員が再会できたのはおそらくはレアケースであって、その裏には救いようのない悲劇に見舞われた人々が大勢いるということを、忘れちゃいけないだろう。