評     価  

 
       
File No. 1844  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年08月09日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ギレルモ・デル・トロ  
       
上 映 時 間   131分  
       
公開時コピー   人類最後の頼みは、この巨兵。  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   チャーリー・ハナム [as ローリー・ベケット]
イドリス・エルバ [as スタッカー・ペンコスト]
菊地 凛子 [as 森マコ]
チャーリー・デイ [as ニュートン・ガイズラー博士]
ロブ・カジンスキー [as チャック・ハンセン]
マックス・マーティーニ [as ハーク・ハンセン]
芦田 愛菜 [as 森マコ(幼少時代)]
ロン・パールマン [as ハンニバル・チャウ]
バーン・ゴーマン [as ハーマン・ゴッドリーブ博士]
クリフトン・コリンズ・Jr [as テンドー・チョイ]
ディエゴ・クラテンホフ [as ヤンシー・ベケット]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    ある日、太平洋の深海に生じた裂け目から突如巨大な生命体が出現した。“KAIJU”と名付けられた彼らは、大都市を次々と襲撃して容赦ない破壊を繰り返し、人類は滅亡の危機を迎える。そこで人類は世界中の英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発する。その操縦は2人のパイロットによって行われるが、イェーガーの能力を引き出すためには、パイロット同士の心を高い次元でシンクロさせる必要があった。当初は優勢を誇ったイェーガーだったが、出現するたびにパワーを増していくKAIJUたちの前に次第に苦戦を強いられていく。
 そんな中、かつてKAIJUとのバトルで兄ヤンシー・ベケットを失い、失意のうちに戦線を離脱した名パイロット、ローリー・ベケットが、イェーガー作戦の司令官であるスタッカー・ペンコストによって香港に呼び寄せられる。香港には、彼と兄が乗っていたイェーガー“ジプシー・デンジャー”を含む4体の修復作業が、極秘裏に進められていたのだ。“ジプシー・デンジャー”の修復に当たるのは日本人研究者の森マコで、彼女は幼い頃にKAIJUに家族を殺された悲しい記憶に苦しめられていた。
 パイロットの訓練を受ける過程で、ローリーはマコがパイロットとして優れた資質を持っていることに気付く。そして、ペンコスト司令官にマコとペアを組みたいと申し出るが、“ジプシー・デンジャー”でのドリフト・テストで、マコは過去の記憶に囚われて暴走し、危うくジプシーの腕に装填されたプラズマ砲を発射しそうになり、マコはパイロットから外されてしまう。しかしある日、それまでは1体ずつしか現れなかったKAIJUが同時に2体出現し、出動したイェーガーが窮地に陥ったために、ローリーとマコがジプシーに乗り込んで出動することとなった。
 2人が操縦するジプシーは、見事に2体のKAIJUを退治し、ローリーとマコ、そしてジプシー・デンジャーは一躍脚光を浴びることとなる。そして、KAIJUたちの通路となっている太平洋沖の海底の裂け目を爆破するというミッションに、ジプシーも護衛として加わることとなった。しかし、裂け目を守るかのように3体のKAIJUが出現し、うち一体はカテゴリー5という未だかつてない巨大なKAIJUだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    ギレルモ・デル・トロ監督と言えば、私の大好きな『パンズ・ラビリンス』を筆頭とした、ハリウッド作品とは一線を画すようなダーク・ファンタジーの名手というイメージが強い。そんなデル・トロ監督が、文字通り“KAIJU”映画を作ったと知った時には、「この作品、本当に大丈夫か?」と不安を抱かずにはいられなかった。だが、観てみるとそんな不安は消し飛んでしまい、もうイェーガー・ワールドにどっぷりと浸らせてもらった。
 ストーリーは単純明快、幼稚な怪獣物と評価する向きが少なくないとは思うが、円谷プロの特撮番組を観て育った世代の私にとってはそんな批判は馬耳東風、何と言われようが一向に気にならない(笑)。とにかく全編を通して巨大怪獣と巨大イェーガーの大戦の迫力には圧倒されっぱなしだ。地元のTOHOシネマズでは3Dは日本語吹替版のみの上映で、やむなく3D鑑賞を断念したが、この迫力は是非とも3Dを体験してみたくなる。
 この作品、登場する怪獣が文字通り“KAIJU”と呼ばれていて、それはデル・トロ監督の日本のアニメや特撮作品への造詣の深さをうかがわせる。また、主役級のキャラクター・森マコに菊地凛子、彼女の少女時代に芦田愛菜チャンをキャスティングするなど、日本人にとっては嬉しい設定が多い。ちなみに、登場する巨大ロボットは“イェーガー”と呼ばれ、ドイツ語で狩人を意味する単語とのこと。
 話題になっている、芦田愛菜チャンのハリウッド・デビューだが、デル・トロ監督は「今まで起用した女優の中で最も優れたひとりだ」と彼女を絶賛しているようだ。そう言えば、『パンズ・ラビリンス』の時も主演のイバナ・バケロに同じような感想を述べているのを思い出した。監督、もしかしたらローティーンや10歳未満といった世代の少女に弱いのかもしれない(笑)。それはともかく、愛菜チャンの登場するシーンは、菊地凛子扮するマコの記憶の中だけで、台詞も一言もない。が、主役でもない少女時代のマコに、あれだけ長いカットが割かれているとは、いかに監督が愛菜チャンに惚れ込んだかがうかがわれる。愛菜チャンも、そんな監督の期待を裏切らず、いや、おそらくは期待以上だと思われる、堂々とした演技を披露してくれている。
 今まで菊地凛子を何度も観てきたが、彼女は『テルマエ・ロマエ』で言うところの“平たい顔”の典型だと思うが、この作品で初めて彼女が魅力的に見えたのは、ひとえに主人公ローリーに感情移入した結果だろう。ちなみに、どうでもいい話だけど、菊地凛子の日本語が英語よりも下手に聞こえるのは気のせい?