前半が星3個、後半が星5個(甘め)、平均で星4個。『IT/イット THE END』にも書いたけど、ホラー作品で2時間を越えるような尺の長さはあり得ない。なのに今年は、年明け早々の『サスペリア』(152分)を皮切りに、『IT/イット THE END』(169分)、そして『ドクター・スリープ』(152分)と、立て続けに2時間半を超える長尺ホラーが公開されていて、しかもそのどれも面白いとは思えないのがある意味すごい。やはりホラーというものは、100分に満たないくらいの尺に恐怖の要素をギュッと詰め込んで、たたみかけるように怖がらせないとダメだと、改めて痛感した。
この作品は、1980年にジャック・ニコルソン主演で制作された『シャイニング』の40年後を描いた作品だが、1980年だと私がまだ大学に入る前だから、まだ映画熱に冒される前のことで、劇場はもちろんのことビデオやDVDでも観たことがない。なのに、ドアの割れ目から覗くジャック・ニコルソンの狂気に満ちた顔のポスターだけは、なぜか鮮烈に覚えていた。ただ残念ながら、タイトルが『シャイニング=輝くもの』なんていうホラーらしくないものだから興味も湧かず、当時もほとんど話題に上ることがなかったように思う。もっとも、私が映画に興味を持つ前のことだから、もしかしたら話題作になっていたのかも知れないが、当時の私にはどーでもいい話だったことだけは間違いない。
そんな作品の続編を、なぜ40年も経過した今制作する気になったのかが全く理解不能。公式HPによると、これまで“続編”というものを一切書かなかった原作者のS・キングが初めて続編を書いた、とあって、それが最大の理由なのかも知れない。あるいは、どうやら原作者のS・キングがキューブリックがメガホンを執った前作に不満を抱いていたらしく、S・キングがそのリターンマッチだとばかりに映画化を考えたのか・・・・・真偽のほどは私にはわからない。
ただでさえ長過ぎる尺の上に、アンディがローズに襲われる場面、少女アブラが特殊な能力に目覚める場面、そしてダニーが引っ越ししてビリーと知り合うくだりがそれぞれ独立した事象のように展開するため、それらの脈絡を把握できなかったせいもあって急激に睡魔に襲われた。これは、私が前作『シャイニング』を観ていないためではなく、仮に観ていたとしても、前作の舞台であるオーバールックホテルが一切登場しないこともあって、やはり同じように困惑させられていただろう。幸い、意識を失うようなことはなかったものの、もしも忍耐力が勝らなければ、尺も長いからさぞかしぐっすりと眠れたことだろう(笑)。
そして、それら独立したかに見えた事象が次第に繋がっていって、後半は悪の集団“トゥルー・ノット”と戦うダニー&アブラ、という図式に収束されていくことがわかると、逆に単純なヒーローもののような陳腐感が感じられて、それはそれで非常にもったいない。ダニーがどういう方法でローズを倒すのかはある程度想像がついてしまうし、長い時間を費やしてゴテゴテに付けられた枝葉も活かされていないように感じた。