評     価  

 
       
File No. 0685  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2008年02月09日  
       
製  作  国   フランス / アメリカ  
       
監      督   ジュリアン・シュナーベル  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   ぼくは生きている。話せず、身体は動かせないが、確実に生きている。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マチュー・アルマリック [as ジャン=ドミニク・ボビー]
エマニュエル・セニエ [as セリーヌ・デスムーラン]
マリ=ジョゼ・クローズ [as アンリエット・デュラン]
アンヌ・コンシニ [as クロード]
パトリック・シェネ [as ルパージュ医師]
ニエル・アレストリュプ [as ルッサン]
オラツ・ロペス・ヘルメンディア [as マリー・ロペス]
ジャン=ピエール・カッセル [as リュシアン神父/店主]
イザック・バンコレ [as ローラン]
エマ・ドゥ・コーヌ [as ウジェニー]
マリナ・ハンズ [as ジョゼフィーヌ]
マックス・フォン・シドー [as パピノ]
 
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あ ら す じ    ジャン=ドミニク・ボビーが目覚めたのは、フランスの片田舎のとある病院の病室だった。目覚めたジャンに話しかける、医師や看護師たち。ジャンは彼らに応えようとするが、なぜか彼の言葉は通じなかった。やがて彼は、自分の体が左目以外は動かすことができず、言葉すら発せないことを悟るの。彼は息子とドライブの最中に、脳梗塞で意識を失って病院に運び込まれたのだが、後遺症で全身が麻痺してしまったのだった。
 そんなジャンに、言語療法士のアンリエットは瞬きでコミュニケーションをとる方法を試みる。自分の意思を伝える術を得たジャンは、絶望の淵から救われた。自らを哀れむことをやめ、瞬きで自伝を綴り始めるのだった。体は潜水服のように動かくとも、彼には蝶のように自由にどこへでも羽ばたくことができる想像力があったから。
 
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たぴおか的コメント    ELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが、全身の中で唯一動く左目の瞬きだけで綴った自伝を映画化した作品。左目以外の全身の自由を奪われたジャンが、死にたいと思う気持ちを捨て、自分を哀れむことすらやめて、自らの生を貫く姿勢は素晴らしいの一言に尽きる。2005年に公開された『海を飛ぶ夢』でも、主人公ラモンが全身の自由を失うのだが、彼の場合は首から上は動くし会話を交わすことにおいては健常者と何ら変わらない。にもかかわらず、ラモンは尊厳死を望み、左目だけしか動かせないジャンは生への執着を見せた。もちろん、私が共感できるのはジャンであって、決してラモンではない。ちなみに、ラモンが見たのは海を飛ぶ夢、そして、この作品のジャンが見たのが蝶になって自由に飛び回る夢。いずれも、空を飛ぶことが自由を象徴する行為として描かれており、それはあくなき人間の自由への渇望の表れなのだ。