評     価  

 
       
File No. 0939  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年03月14日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   パトリック・タトポロス  
       
上 映 時 間   90分  
       
公開時コピー   過去に、もう一人の私がいた。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マイケル・シーン [as ルシアン]
ビル・ナイ [as ビクター]
ローナ・ミトラ [as ソーニャ]
スティーヴン・マッキントッシュ [as タニス]
ケヴィン・グレイヴォー [as レイズ]
シェーン・ブローリー [as クレイヴン]
ケイト・ベッキンセイル [as セリーン]
 
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あ ら す じ    1000年以上も昔、不老不死のアレクサンダー・コルヴィナスの息子、マーカスとウィリアムから誕生したヴァンパイア族と狼男族。ウィリアムは封印され、以来知力と政治力に勝るヴァンパイア族がアンダーワールドの支配者として君臨していた。ところが、このバランスが数百年後に崩れることになる。狼男族に今までにない能力を持ったルシアンが誕生したことが、そのきっかけだった。
 彼は、獣の姿をし理性も知性も持たない従来の狼男族と異なり、人間から獣、獣から人間へと自在に姿を変えることができる、新たな種“ライカン”であった。ヴァンパイア族の長老ビクターは、ルシアンが持つ能力を恐れながらも、ルシアンを使って次々とライカンを生みだし、奴隷として支配しようと考えたのだった。ところが、そのビクターの目論見を狂わせる火種があることを、彼は知らなかった。その火種とは他ならない、彼の愛娘ソーニャであり、あろうことか彼女はライカンであるルシアンと禁断の恋に落ちていたのだ。
 ある夜、貴族たちが貢ぎ物を届ける道中で狼男の大群に襲撃を受け、戦士であるソーニャが危地に陥ってしまう。禁を破って狼男に姿を変えたルシアンによってソーニャは難を逃れるが、ビクターは理由の如何を問わずに禁を破ったルシアンを責め苦にさらし、挙げ句の果てに彼を亡き者にしようと考えた。これを知ったソーニャはルシアンを逃亡させることに成功するが、ルシアンを逃がしたことばかりか愛し合っていたことまでがビクターに察知されてしまう。ソーニャを救いに戻ったルシアンは捕らえられてしまい、ビクターはルシアンの目の前で愛娘ソーニャの処刑を決行するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ケイト・ベッキンセイルがヴァンパイアに扮する『アンダーワールド』シリーズの、いわばスピンオフ・ムービー的な作品。いつも通り予備知識を持たずに観たのだが、今回ばかりはそれを後悔した。せっかくケイト・ベッキンセイルが見られるのを楽しみにしていたのに、完全に期待を裏切られる形となったからだ。ただ、チラシには「いま明かされる女処刑人の謎。」と書かれていたからこそ、ケイトが主役だと思い込んだのも無理のない話で(←自己弁護)、そんな嘘のコピーを乗せたソニー・ピクチャーズの責任は重い。
 ビクターの娘・ソーニャをえんじるローラ・ミトラは、ケイト扮するセリーンに瓜二つという設定通り(正しくはセリーンがソーニャに瓜二つだが)、確かに似ている。ケイトを良く知らない人が見たならば、おそらくは今回の作品でセリーンがビクターの娘だという事実に混乱するかも知れない、それほど似ている。けれども、いくら似ているからといって、彼女をケイトの代わりのヒロインに抜擢したところで、ケイトが登場しないことの穴埋めができるはずがない。セリーンのいない『アンダーワールド』など、「歩のない将棋」どころか「王将のない将棋」のようなもので、だから敢えてスピンオフ・ムービーと言わせてもらった次第だ。
 作品の内容は、前2作で部分的に明かされたライカンの始祖たるルシアンとビクターの娘ソーニャの恋がきっかけで、主従関係にあったヴァンパイアと狼男族が対立するに至った経緯で、今まで明かされてきたエピソードと何ら矛盾するところが見られないソツのなさはさすがと言えるだろう。また、全体がブルーグレーに彩られた『アンダーワールド』独特の世界観も健在。ただ、全3作品と言われているこのシリーズ、ケイトが登場しないままこれで終わってしまっては不完全燃焼も度が過ぎる。もう一作、彼女の華麗な姿を余すとこなく披露して有終の美を飾って欲しいものだと切に願う。