評 価
File No.
1027
製作年 / 公開日
2009年 / 2009年07月25日
製 作 国
日 本
監 督
中江 裕司
上 映 時 間
105分
公開時コピー
いつでもあなたを
見守っているよ
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
柴本 幸
[as ゆり子]
蔵下 穂波
[as マジルー]
平良 とみ
[as タンメー]
平良 進
[as アンマーハーメー]
和田 聰宏
[as 敦]
中村 優子
[as 梨花]
照屋 政雄
[as 船長]
玉城 満
[as 手登根権三]
吉田 妙子
[as ゴゼイ]
親泊 良子
[as カマドおばあ]
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あ ら す じ
東京で恋人の
敦
との恋に疲れた
ゆり子
は、故郷の沖縄・世嘉冨島に戻ってきた。そこは、彼女が幼い頃に
カマドおばあ
と暮らした場所で、精霊キジムンに守られているという言い伝えがあった。そしてそれは単なる言い伝えではなく、ゆり子も幼い頃にキジムンの
マジルー
と出会い、堅い友情で結ばれていたのだった。誰かが自分を覚えていてくれる限り生きていけるキジムンのマジルーにとって、ゆり子との再会はこの上ない喜びであり、ゆり子にとってもマジルーとの再会は懐かしく嬉しい出来事だった。
島は村長
手登根権三
の息子の結婚式を控え、誰もが浮き足立っていた。その結婚は実は政略結婚で、村長はその結婚を利用して島にリゾート開発を誘致し、大儲けしようと目論んでいたのだった。そんな折、東京からゆり子を追って敦が訪れ、さらに敦の妻
梨花
までもが島へ押しかけてしまう。マジルーは敦との恋に苦しむゆり子を助けるため、目覚めたときに見た相手に恋してしまうという恋の秘薬を使うが、誤って敦は梨花に、梨花は村の青年に恋してしまったために、村は大騒動になってしまう。そして、あろうことか村長の息子が花嫁に逃げられてしまい、ゆり子が無理矢理花嫁に仕立てられてしまった。
キジムンのマジルーには、島民が集まる結婚式で歌を歌い島民を祝福するという使命があるが、一方で無理矢理結婚させられそうなゆり子を助けなければならなかった。果たして、ゆり子とマジルーはこの後どうなってしまうのだろうか・・・・・?
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たぴおか的コメント
ご存じ、シェイクスピアの有名な戯曲『真夏の夜の夢』を沖縄流にアレンジして、妖精たちを沖縄の悪戯好きな精霊・キジムナー(作品中ではキジムン)に置き換えて制作された作品。つまり、キジムンのマジルーが妖精のパックに相当するわけだ。沖縄版シェイクスピアとは、さぞかし貧相な作品になったのではないかと危惧しながら劇場へ向かったのだが、予想に反して悪くない出来だった。と言うより、ハッキリ言って結構面白かった。
主演の柴本幸は、原沙知絵に似ているようないないような今ひとつ特徴のない顔立ちで、一晩寝て起きたらどんな顔だったか忘れてしまいそう。それに対して、キジムンのマジルーを演じた蔵下穂波ちゃんは、どう見ても男の子のようだが実は名前からもわかるとおり女の子で、こちらは夢に出てきそうなほど強く印象に残っている。そして、沖縄を舞台にした作品には必ずといっていいほど登場する平良とみさんが、今回はキジムンの王役で出演している。彼女は、確か沖縄の方言指導としても一役買っていたはず。
方言と言えば、確か『ウルトラミラクルラブストーリー』のコメントで「邦画でこれほど字幕が欲しいと思った作品はない」と書いた記憶があるが、沖縄の方言にはそれに輪をかけてすさまじいものがある。単語自体は標準語と同じものが多いのだが、助詞や動詞については全く聞き取れずに理解することも不能。邦画で字幕付きの作品は初めての経験だったがそれも当然、むしろ字幕がなければ会話は一切理解できなかった。おかげで、マングローブの生い茂った林を背景にしたシーンなどは、日本ではなくマレーシア辺りの東南アジア映画を観ているような錯覚に陥ってしまった。
シェイクスピアの原作ではパックが惚れ薬を使って悪戯をして、でたらめなカップルを誕生させたと記憶しているが、その辺りはこの作品も同じだ。マジルーが惚れ薬を使ったはいいが、やはり意図した人物と別の人物同士をくっつけてしまったりする。ただし、パックはその後妖精の王オーベロンにこっぴどく叱られて元に戻す羽目になったはずだが、マジルーの悪戯の場合は間違ったカップルはそのままどころか、悪のりをしたゆり子までもがマジルーと一緒になって村中の人々に惚れ薬をかけまくる始末だ。このはちゃめちゃな状態を一体どうやって収集させるのか、これは突っ込みどころかと思ったら、最後に予想もしない大どんでん返しが用意されていて見事に一本とられた形となった。東京に甘い雪を降らせたマジルーの心遣いが、ゆり子だけでなく観ているものにも優しく、それでいてちょっぴり切ないエンディングとなった。