評 価
File No.
1036
製作年 / 公開日
2007年 / 2009年08月08日
製 作 国
アメリカ
監 督
ジェームズ・マンゴールド
上 映 時 間
122分
公開時コピー
心に秘めた生き様に、
男は静かに命を賭ける。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ラッセル・クロウ
[as ベン・ウェイド]
クリスチャン・ベイル
[as ダン・エヴァンス]
ローガン・ラーマン
[as ウィリアム・エヴァンス]
ベン・フォスター
[as チャーリー・プリンス]
ピーター・フォンダ
[as バイロン・マッケルロイ]
ヴィネッサ・ショウ
[as エマ・ネルソン]
アラン・テュディック
[as ドク・ポッター]
グレッチェン・モル
[as アリス・エヴァンス]
ダラス・ロバーツ
[as グレイソン・バターフィールド]
レニー・ロフティン
[as グレン・ホランダー]
ルース・レインズ
[as ウェザース保安官]
ケヴィン・デュランド
[as タッカー]
ベン・ペトリー
[as マーク・エヴァンス]
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あ ら す じ
南北戦争で片脚を失った
ダン・エヴァンス
は、妻の
アリス
と2人の息子
ウィリアム
、
マーク
らと共に、アリゾナで小さな牧場を営んでいた。しかし、干ばつが続く上に地主の
ホランダー
に川を堰き止められて借金がかさみ、挙げ句の果てに返済が滞っていることに対する嫌がらせで馬小屋に火を付けられてしまう。
翌日、ダンは2人の息子を連れて昨夜の騒ぎで逃げ出した牛を探しに行った先で、悪名高い早撃ちの
ベン・ウェイド
の一味が駅馬車を襲撃し金品を強奪しているところに出くわす。そして、この出会いが2人の運命を大きく変えることになる。ダンは借金の返済の件でホランダーに交渉するために町に出た先でウェイドと再会するが、その際ウェイドは保安官たちにいともたやすく逮捕されてしまう。そして、ウェイド一味に何度も辛酸をなめさせられていた
グレイソン・バターフィールド
は、ウェイドをユマの刑務所まで連行することを決め、200$の報酬で護送役を募り、ダンは危険を承知でこの護送役を買って出た。こうして、先日の駅馬車襲撃の際に大怪我をさせられた探偵の
バイロン・マッケルロイ
、そのバイロンを手当てした医師の
ドク・ポッター
、ダンの馬小屋に火を付けた張本人の悪党
タッカー
、それにバターフィールドの面々と共に、ダンはいつ手下が襲撃してくるともわからない危険な行程に出発するのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
1957年に制作された『決断の3時10分』を、ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイルの2大スターを主演に迎えてリメイクした作品。もちろん私は1957年などまだ生まれていないから、オリジナル作品も全く知らないわけだが、このリメイク作は非常にハイレベルの出来だと思う。最近は引く手数多のクリスチャン・ベイルももちろんいいのだが、それを上回るのが圧倒的なラッセル・クロウの貫禄と存在感だった。
金に困っているようには見えず、かといって強奪する行為自体を楽しんでいるようにも見えない、冷酷無比な強盗団のボスがラッセル・クロウ扮するベン・ウェイドで、かつては射撃の名手だったが片脚を失って以来生きることに精一杯で、息子からは冷ややかな目で見られている牧場主ダン・エヴァンスをクリスチャン・ベイルが演じている。作品の主題は捕らえられて護送されるウェイドと、彼を護送する役を買って出たエヴァンスとの間に生まれた奇妙な連帯感と友情・・・・・いや、友情なんて陳腐な言葉では言い表せない微妙な絆だ。なぜなら、ウェイドは決して友情などを抱くような男ではなく、他人の係累を敢えて拒み孤独を選ぶことこそが彼の存在意義であり矜持でもあったのだから。従って、彼にとっては強盗団の部下たちも仲間などではなく、そのことはラストの彼の行動が証明している。
そんな慈悲や哀れみといった感情を持ち合わせない悪党でありながらも、ウェイドにしてみればほんのはした金でしかない200$のために命を懸けるエヴァンスの生き様が心の琴線に触れたことは間違いない。しかも、彼は脚を失った本当の理由を告白したエヴァンスに対し、追い打ちをかけるようなことを話す。自分は収容されるユマの刑務所に2度いたことがあり、その2度とも脱走したことを。それはエヴァンスのすべての行動を無意味に帰すと同時に、ウェイドをユマまで送り届けようとする彼の強い意志を根底から覆しかねない告白だったはずだ。それでも逃げ出すことなくウェイドをユマ行きの列車に乗せようとしたエヴァンスの選択は、どこかウェイドに通じるものがあるように思える。そこがウェイドの共感を呼び、逃走を翻意させた大きな原因だろう。そう考えると、ラストでウェイドがとった意外な行動も頷ける気がする。