評 価
File No.
2880
製作年 / 公開日
2018年 / 2018年10月19日
製 作 国
日 本
監 督
大友 啓史
上 映 時 間
116分
公開時コピー
お金とは何か? 幸せはどこか?
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
佐藤 健
[as 大倉一男]
高橋 一生
[as 古河九十九]
黒木 華
[as 大倉万左子]
池田 エライザ
[as あきら]
沢尻 エリカ
[as 安田十和子]
北村 一輝
[as 百瀬栄一]
藤原 竜也
[as 千住清人]
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あ ら す じ
兄が3,000万円の借金を残して失踪して以来、図書館司書のああああああああ
大倉一男
は、夜雄パン工場で働きながら借金を返済している。彼の妻・
万左子
は借金の返済の呪縛を受けたように窮屈に生きることしかできない一男に愛想を尽かし、離婚届を一男に託して娘のまどかを連れて家を出てしまっていた。そんな一男はある日、当選金額3億円という巨額の宝くじに当選する。一男は「これで借金を返済して妻子とまた一緒に暮らせる」と思う反面、ネットでは高額の宝くじに当選したばかりに悲惨な人生を送っているという記事が多いことに怯える。そこで一男は、大学時代の親友で、起業して億万長者となった
古河九十九
アドバイスを求める。ところが、九十九の指示で現金化した3億円は、彼と共に姿を消してしまうのだった。
3億円と親友の行方を求めて、一男のお金と幸せをめぐる冒険が始まる。九十九の家のパーティで出会った
あ きら
と名乗る女性を頼りに、かつて九十九と起業した仲間=“億男”と呼ばれる億万長者たちに接触し、九十九の手がかりを探る。ギャンブル好きの実業家・
百瀬栄一
、マネーネーセミナーの主宰者・
千住清人
、10億円を隠し持つ主婦・
安田十和子・・・・・
。曲者ぞろいの億男たちを渡り歩き、彼らに翻弄される一男。お金、友情、そして家族。すべてを失った男が最後に辿り着くのは・・・・・?
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たぴおか的コメント
キャストが結構豪華で、誰もが興味あるであろうお金がテーマとの作品で、私は後者により興味を惹かれて観たのだが・・・・・結論は、正直言って物足りなかった。
キャストに関して言えば、最初この作品の存在を知ったのは劇場のチラシで、全面に高橋一生のどアップだったと記憶している。だから、宝くじに当選したのも高橋扮する古河九十九で、佐藤健は出演することすら知らなかった。そのせいじゃないが、佐藤健と高橋一生のキャスティング、逆だった方が良かったんじゃないかと思う。高橋一生のモジャモジャの前髪がうざったいのなんのって、目の前にあんなヤツがいたら、迷わずハサミを手にして切ってやるところだ・・・・・なんてことはどうでもいいけど、2人の個性を活かすなら、金を持ち逃げしたのが佐藤健、されたのが高橋一生の方がよりリアリティのある作品になったと思われる。
藤原竜也は相変わらず演技達者で、あの新興宗教の教祖のような胡散臭さがプンプンする千住清人というキャラを見事に作り上げている。その異様なまでの迫力には、観客から絶賛の声が飛び交っているとか。完全に主役を食ってしまったという、典型的な例だ。そう言えば、佐藤健と藤原竜也は、『るろうに剣心』でも共演しているが、あの時の藤原演じる志々雄真実の鬼気迫る迫力の前に、緋村剣心が霞んでいたように思う。
北村一輝演じる百瀬は、最後まで誰が演じているのか全くわからなかった。見た目は柳楽優弥かと思ったが、どうも声が違う。けれども、まさか北村だったとは、エンド・クレジットで名前が確認できても未だ半信半疑だった。
そして、存在意義が微妙だった、沢尻エリカ扮する安田十和子。彼ら登場人物は、結局のところ皆金に囚われていて、金に動かされているように見える。だから、一男のセリフ「お金を使える人になりたい、お金に使われるのではなく」というのは名言であり至言だ。この言葉については、千住も褒めていたし(笑)。
そんなお金に絡む様々な人物と触れある前半に対し、後半は一男と九十九の過去の回想シーンがメインになってしまっていて、その落差が大きすぎる。
お金について、残りの1%の謎を解くために、一男の3億円を一旦持ち逃げしたという九十九だが、その行動でなにがわかったというのか?もしかしたら、親友を失うかも知れないリスクを冒してまで、残りの1%は重要なのか?私だったら、冗談でも九十九の行動を許すことなどできず、即刻警察に行っていただろう。
お金に関する様々な人間の持論が展開される作品ではあるが、お金の有り難さ、そしてお金の恐ろしさの双方を身をもって体験した者はひとりもいないのだ。だから、どの人物もお金の一側面しか見ていないわけで、その辺りが上っ面だけで浅薄に思える所以かも知れない。話はそれるかもしれないが、水島新司の『銭っ子』、あれは野球漫画でで有名な水島氏の作品群の中ではお金を扱った異色作だが、数多い水島作品の中でも最高峰の名作だと思う。もし興味と機会があれば是非ご一読を。